ストレス

ストレスと身体の適応

病は気から,といわれるようにストレスは身体の障害に大きな関わりを持っています。ストレスが原因でおこる病気には、ぜんそく・胃潰瘍・などの免疫機能の低下するものが多くあります。
また病気に到らなくても、胃が痛くなったり、心臓がキューツと痛むなどの変調を身体に来たします。

精神的な緊張をはじめとして気温の変化・栄養の過不 等,私たちの身体は常にストレスの原因、ストレッサーに囲まれています。およそストレスのない社会などはないのですから、発想を変えてむしろどのようにストレスとつきあっていくかを考えることが重要です。

ストレスの意味について考える

ストレッサーは私たちにとって悪い作用ばかりもたらすのでしょうか?アメリカの心理学者が面白い実験をしました。ストレス刺激の全くない部屋で過ごすと人はどうなるのか調べたのです。
結果は体温調整の低下・暗示にかかりやすくなる・幻想をみる・・などの影響がでました。

ストレスは私たちにとってむしろ適度に必要なものなのです。

最近原因不明で発熱する小学生が多いそうです。それは今の子供たちが生まれてからクーラーのよく効いた部屋で汗を流すことなく育ったためです。人間が持つ汗を流して体温を調節するという能力が未発達のため発熱してしまうそうです。ストレッサーを避けてばかりいると、ストレスに対する抵抗力が低下してしまうようです。

ストレスとつきあう

様々なストレッサーのうち精神的なストレッサーは日常生活のなかで大きな比重をしめています。
現代はまさに「ストレス社会」といわれ、老若男女を問わずストレスを感じ数限りない緊張と圧迫は年々高まっているように思われます。自殺者は交通事故死者よりも多く年間3万人以上になります。

こころの問題は健康を考える時重要な要素です。屈強な身体の持ち主であっても、心配ごとや悩みが多いとほどなく病気になってしまうでしょう。

ストレスとどのように付き合っていくか?

そのヒントは大脳新皮質の利用にあります』

  • 快ストレッサーと不快ストレッサー
    同じ刺激、ストレッサーでも自分自身の心構えや、気持ちの持ち方で、身体に良い刺激と悪い刺激になるようです。例えば、奥様方が早起きする場合、子供の早朝クラブ活動のための弁当を作らなくてはならない時と、自分が温泉地とか、宝塚歌劇に行く時はストレスの感じ方が変わってきます。同じ朝5時に起きることでも、自ら進んで行動する場合と、イヤイヤながら行動するのではホルモンの働き、自立神経の働きが全く違います。目的を持ち、自ら進んで実行することや楽しいことは、快感ホルモンが分泌され、脳が活性化されますがイヤだと思うと身体に障害を引き起こしてしまうのです。ストレッサーに対してどのように取り組むかは、要は自分自身のものの捕らえかたです。大脳を働かせてなるべく多く “快ストレッサー=よいストレッサー” に自分のなかで変えていくのもストレストとの付き合い方のひとつの方法です。

利他的利己主義のすすめ   

脳の快感

  • 私たちの本能的欲望・・・・・・食欲・性欲・集団欲などを、人間として、当たり前と認め上手に活用することが大切です。
    世界保健機関のWHO憲章には、「健康とは完全に身体的、精神的および社会的に良い状態であって、単に病気あるいは欠陥のないことだけではない」と言っています。社会的に良い状態とは、日々の暮らしの中で、人と仲良く協調し、他人に迷惑をかけずに行動できることです。人々や社会に害を及ぼさず、健康な心と体を持ってはじめて真の健康といえるのでしょう。
  • 私たちは、一人だけで生きているのではなく、絶えず他人との関わりの中で生きています。自分と夫または妻、そして子供を含めた家族、そして友人や他人など、自分自身をとりまく大勢の人とともに生活しています。考え方も、価値観も、行動様式も異なります。
  • 人間は、生きている以上、誰もが自分が一番大切で、自分が一番他人に認められたいし、楽しい思い、快感を味わいたいと思っています。このような感情は、心の奥にあり、ストレートには出てきませんが、無意識のうちに全ての人が強く持っています。食欲・性欲・集団欲などの本能的な欲望もまた根強く、深く秘められており、これらがたくましく意識的に活動する原動力にもなっています。
  • 脳のうちの大脳辺縁系《たくましく生きる脳》は、食欲や集団欲が満たされた時に、快感が生まれます。うれしい、楽しいなどの感情は信号として間脳《視床下部》に伝えられ、内臓や体によい影響
    を与えます。しかしたくましく生きる脳の欲望のままに行動すれば他人に迷惑をかけることになってしまいます。
  • たくましく生きようとする脳の欲望《本音》とそれを抑えようとする理性《建て前》との葛藤はストレスとなって感じられるのです。
  • ここで大脳新皮質《意識的に活用できる脳》の理性を少し働かせて、自分が快感を得ること、幸せ感にひたることに対して、少しまわり道をしてみるのです。誰もが快感、幸せ感を味わいたいわけで
    すから、まずまわりの人、つまり自分以外の他人にその幸せ感を味わって貰うようにして最後に自分が快感を感じ、幸せ感を得るように他人に接するわけです。
  • それには、自分のことは少し後にして、他人に対して喜んでもらえるような言葉をかけ、行動すればいいわけです。相手の趣味や自慢話を聞いてあげたり少しでも良いところがあればすばらしいと
    ほめてあげたり相手が喜びや幸せ感を感じていただいたらいいでしょう。
  • ストレス学説を発表したハンス・セリエ博士は、このことを、 “他人の感謝を集める” と表現しています。他人の感謝を集める努力をまず実行すれば、他人は自分の敵にならずに、見方になって
    くれます。他人がストレス刺激にはなりません。
  • 逆に、他人から “あなたのおかげで・・・” とか “あなたにあのようにいっていただいて”などと感謝されるようになります。自分が認められることは強い快感が得られ、うれしい幸せ感につつまれます。
  • 感謝され認められるようになることは、“相手を認め、話を聞く、ほめる、ことからはじまります。最初は、自分の快感を得る目的で他人の感謝を集める実践を行って、他人から,ありがとう,おかげさまでなどと感謝されていると、いつのまにか目的を意識しなくても “自分が一番幸せ” が “他人の幸せも自分の幸せ” になり真の快感、喜びを味わうことができるようになります。
  • 利他的利己主義。人間は誰もが利己主義ですから、これを当たり前のこととして認め 他人の感謝を集めること を習慣化すれば敵をつくらず結果として自分が幸せになります。
  • 参考文献  
    綿谷浩史 『爽快に生きる』 (株)メディアパル(2002年)